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2019/10/26

共感覚

声に色を感じるという
特殊な感覚を持つ人がいる



数年前に
年配の男性のお客様に
言われたことばを思い出した


「いつものあなたの声は
 鮮やか赤なんです!



 声の色が赤い、というのは
 声が大きいとか
 賑やかだとか
 そういう意味じゃないのです。
 説明するのが難しいけど。

 ただ言えるのは、いつどんな時も
 あなたの声は赤なんです。


 それなのに今朝の声は青い。


 いつもと同じように明るいし
 いつもと同じ話し方で


 なのに声が青い。


 なにか、ありましたか?」





電話を終えた後、私は
同僚たちに聞いてみた

「私、いつもと違いますか?」



長い付き合いの同僚たちは
男女問わず全員口を揃えて言った


「いいえ。全然。
 普段通りに見えます。
 なぜそんなことを聞くんですか?」




実はその日の朝
私は、大好きな大叔母の訃報を
聞いたばかりで

それはある春の朝のことだった



蒼く澄んだ冷たい空気と
朝陽の煌めきと
遠くに視える桜の花弁の淡い色


いくつかの色が重なる
美しい朝だった





声に色を感じる人が合唱を聴くと
調和した色を感じるものなのだろうか 笑


いつか訊ねてみたいと思う